O Conjunto de Guitarras do Sr.T
セニョールTと彼のカルテット

「セニョールTと私」発売によせて

 ファーストアルバム発売のころから宣言していたとおり、この2ndアルバムでセニョールTと彼のカルテットは解散する。というか、制作スタートをもたもたしているうちに阪井瑞希は大学を卒業して地元へ戻ってしまったし、ライブをしない約束で集まったわけだから解散もなにもあったものではない。ちなみに阪井はデータで送られてきたおっさんたちの録音を聞きながら宅録したものを送り返すといった形で当アルバムに参加。便利な時代になったもんである。

 本作は名前のついていないVariacoes3曲に古典ファドのメドレーを意味するRapsodia do Fado、歌も6曲中4曲が古典ファドで、そうでない曲も1940年以前の作と、なおさらファドのストロングスタイルをつきつめた構成となっている。
 かといって、何らかの思想を持って曲目を決めたわけではなく、せっかくConjunto de Guitarrasなんだからやるならこのへんかなあぐらいのもんである。最低限のファドに対する認識と、日本におけるファドの段階に対して客観的理解がある面々なので、そらまあ必然性から考えるとこうなるか、といったところだろうか。

 なんにせよ、後年「2010年代前半にこんなアルバムを作っていた連中がいたのか」とドン引きされるのが楽しみでならない。

2013年11月
月本一史

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